2010年9月17日金曜日

1万4000人の4Gamer読者を通して見る日本のオンライン

 2008年12月?2009年1月にかけて行われた,毎年恒例の「4Gamer年末特大プレゼント」。今回の応募総数は,2007年末の8600通を大幅に超える,1万3855通でした。毎度のことながら,やたら多くのアンケート項目があったにもかかわらず応募してくださった読者の皆様,たくさんのプレゼントを提供してくれたメーカーの皆様,あらためてここに御礼申し上げます。ありがとうございました。

2009年度版の国内オンラインゲーム市場の概観図だ。2008年にサービスインした新規タイトルは,どういった層に受け入れられたのだろうか

 さて,好評を博した昨年の「4Gamer読者アンケート結果発表」記事から約一年。「今年はいったいいつ載るんですか」「なぜ載せないんですか」「仕事していますか?」という応援(?)の声を読者,そして業界人の皆様から多数頂いていたわけで,ちょっとした分析記事と共に,今回もその集計結果を公開してみよう。
 本記事で公開するのは,1万3855の応募のなかから,多重投稿などで無効と思われるサンプルを除外した,1万2743人分のデータを集計したもの。アンケート全体の集計はもちろんのこと,タイトルごとに絞ったプレイヤーの属性分析を今回も行ってみた。集計の対象となったタイトルは,実に140本以上。いやぁ,実にめんど……調べがいがありました。

 ともあれ,1万を超えるサンプル数というと,ピュアにゲーマーだけを対象としたアンケートとしては,おそらくは国内最大規模のはず。そんなアンケートの集計結果からは,日本のオンラインゲーム業界,そしてゲーム業界のどんな姿がうかがえるのか。早速その内容をお伝えしよう。

【昨年の関連記事】
オンラインゲームプレイヤーの属性データなどを公開――4Gamer読者を通して見る日本のオンラインゲーム市場とは?


4Gamer読者の平均年齢は27.4歳。昨年とほぼ変わらず



 細かい分析に入る前に,まずは4Gamer読者全体のデータから紹介していきたい。4Gamer読者の平均年齢は27.4歳と,ほぼ昨年(27.5歳)と同じ数値。ただ全体の割合からいうと,11?15歳の層が2.2%から3.8%に,16?20歳の層が17.8%から19.1%へと微増しており,若干ではあるが,“若い”層が増加している。2008年10月から4Gamerで取り扱いを始めたコンシューマゲーム機関連の記事の影響かもしれない。
 ちなみに女性読者層の割合は,6.4%から5.1%へと減少(※注)。これについては,編集部で数時間にのぼる討議に及んだ結果,女の子の画像を探しては,いつもせっせと掲載している編集部のKawamuraの責任ということにしておいた。

※注:女性読者の応募数自体は増えています


 ともあれ,ゲーム媒体としては比較的高めの年齢層であることは昨年と変わらずだ。職業別で「会社員(技術系)」の割合が高いところなども,Webメディアらしい特徴の一つだといえるだろう。
 また職業別のデータなどを見てみても,平均年齢からうかがえるとおり,会社員(技術系)を中心に,やはり社会人が中心の読者層となっている。次いで,大学生や高校生といった項目が続くわけだが,全体的なデータとしては,昨年とほとんど変わらない結果となった。……まぁ,そんな急激に読者層が変化してしまっては,我々編集部も困ってしまうわけで,これはこれで至極妥当な集計結果だといえるだろう。

 いずれにせよ,4Gamer全体の読者像としては,このような傾向になる。ただ注意してほしいのは,今回公開するデータは,あくまでも「4Gamer読者を通した」結果であり,下記に掲載しているタイトルごとの平均年齢や男女比などといった数値が,そのタイトルの実際のデータとまったく同じであるという保証はない。これらを踏まえたうえで,さらに突っ込んだ部分を見てみよう。


この1年で日本のオンラインゲーム市場はどう変化したか




 2008年もたくさんのタイトルがリリースされた国内オンラインゲーム市場だが,今回も,平均年齢とPCスペックを軸としたタイトルの分布図を作成してみた。さっと見ただけでも,昨年とポジションが変化しているタイトルと,あまり変化していないタイトル,この2パターンがあることがお分かりだろう。

 基本的には,以前から続くタイトルのほとんどには,高齢化(右へシフト)とローエンド化(下にシフト)の傾向がある。まぁただ,PCスペックという観点でいえば,昨年は必要動作環境がハイスペックだと言われていたゲームでも,今やミドルクラスになっているというのは,至極当たり前の話だ。また年齢にしても,プレイヤーの緩やかな高齢化というのは,なかなか避けにくいものではある。

 そんな中から,目立つタイトルをいくつかピックアップするとすれば,プレイヤーの平均年齢が下がっている「ファンタジーアース ゼロ」や「メイプルストーリー」は,注目すべきタイトルかもしれない。プレイヤーの平均年齢が下がっているということは,すなわち新規プレイヤーの獲得ができている可能性を示すからだ。
 ほとんどのタイトルで現状維持あるいは高齢化の傾向が見られるなかで,平均値を大きく下げていたタイトルは,ほかには「テイルズウィーバー」や「トキメキファンタジー ラテール」などごく僅かである。

 またハイエンド志向のプレイヤーが多かった昨年から,ローエンド寄りのプレイヤー層に変化している「サドンアタック」や「WarRock」も,興味深い一例だ。サドンアタックなどは,昨年末に公式全国大会を開催するなど,積極的な運営展開が目立っていたタイトルだが,そうしたプロモーションが功を奏し,いわゆるカジュアルゲーマー層の獲得に成功しているのかもしれない。
 ただそうした一方で,ハイエンド向けFPSの分野は,「Alliance of Valiant Arms」や「Team Fortress 2」といったタイトルが台頭しており,プレイヤーの棲み分けが進んだ結果とも見て取れる。

 ちなみに今回の分析で個人的に興味深かったのは,2008年の新規タイトルを中心として,高年齢&ローエンド路線の分野が賑わっているという点だろう。また低年齢&ハイエンド路線の分野で,MMORPGがほとんど存在していない(この図では一つもない)ことも,非常に示唆的な現象だ。MMORPGという分野自体が,かなり“右側に寄っている”(高齢化している)ものだということが見て取れるだろう。
 確かにMMORPGというジャンルは,「ファイナルファンタジーXI」や「ラグナロクオンライン」「リネージュII」以降,それらに匹敵するような大ヒットといえる作品は,ここ数年登場してきてはいない。
 より若い,新しいプレイヤー層にどうアプローチしていくのか。MMORPGというジャンルは,今やそこが大きな課題となっているのは間違いなさそうだ。

【追記】

 記事掲載後に,「カウンターストライク(以下,CS)がなぜハイエンドなのか?」という質問がいくつかきた
引用元:リネージュ3(Lineage3) 総合情報サイト

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